クラブ・委員会ひろば

ナスカイ最後の卒業式
投稿者:国井信男(昭和62年卒)
2017年3月8日(水)

海城の兄弟校である那須高原海城は、平成8年に全寮制の男子校として開校。那須高原の恵まれた環境で多くの人材を輩出してきましたが、平成23年東日本大震災と福島原発事故のあとは募集を停止しました。その後も東京の新大久保や多摩で授業を続けてきましたが、この度最後の卒業生8名を送り出して閉校することになり、3月5日には最後の卒業式が行われました。
塩田顕二郎教頭は海城の平成3年卒であり98代海城祭実行委員長であります。彼が有終の美を飾る姿を一目見ようと、同じ釜のメシを食った文実生徒会OB会の有志5名が卒業式におじゃましてきました。

8名だけの卒業式ではありましたが、ナスカイ最後の日であるということでナスカイOBや関係者が多数参列しました。海城OBも我々以外にも何人もいらっしゃいました。
卒業証書の授与には「以下同文」という常套句は使われず、茂木雅之校長によって1人1人に渡されました。
今回の卒業生は入学が決まったあとに学校が被災したため、一度も那須で学校生活を送ることはありませんでした。入学式は大久保の海城で5月に行いました。他校に移るという選択肢もあったでしょうが、あえてナスカイに残った彼らにはナスカイでしか得られないものがあったようです。
式辞で茂木校長は何度も「想定外」という言葉を使いました。合格した日に今日のことを想定した人は誰もいなかったでしょう。しかし、卒業生の顔は思いの外明るく、苦難を糧に成長したことが感じられました。「想定外」の総仕上げをするかのように、式辞の最中に会場が停電に見舞われるハプニングもありましたが、卒業生は動じることもなく小さく笑うだけでした。
卒業生の「別れの言葉」では、先生やOBをはじめ周囲からの温かい支援があったことと感謝が述べられました。彼らがすてきな人間関係の中で青春を送れたことが推察されました。

ナスカイは21年で歴史を閉じました。新任として赴任しその全てを見てきた塩田くんの無念は察するに余りありますが、濃密で素敵な学校に携わることができたことを羨ましくも思いました。

画像上:卒業証書授与式
画像中:8人の卒業生
画像下:(左から)国井94代生徒会長・塩田98代実行委員長・高山96代生徒会長

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