クラブ・委員会ひろば
古賀理事長と徳光会長の座談(4)
会報「海原」37号で巻頭特集された古賀理事長と徳光会長の座談の全文を10回に分けて掲載いたします。こちらは第4回です。
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■大きく変わる学校教育■
■学力だけでなく人間力を育てる教育へ■
古賀
同窓会もそうですが、学校自体も変わってきています。日本の学校、教育が変わってきているともいえます。うちなんかはその最先端をいっている学校です。今までの日本の学校は40~50人が1つの教室で先生が教壇で板書して、生徒はそれを必死に書いて覚えるという一方的なものでした。これからは双方向です。生徒の中での情報交換も大切です。
徳光
生徒同士?ディベートのようなものですか。
古賀
それもありますが、生徒同士でいろんな意見を集めながら結論を出すことが大切になってきます。クリティカルシンキング、与えられたものをそのまま受け取るのでなく自分で考えて結論を出すことがこれからは必要です。日本では「ハウツー」の教育でした。
フィンランドではその前にWHYがつくんです。
WHY、なぜこうなんだろうと考えさせることでフィンランドの教育はドンドン伸びていきました。回り道みたいだけどハウツーの前になぜが必ずある。それをやって皆が考える方向になった。フィンランド語でミクシイミクシイ、つまり、なぜ?なぜ?です。
フィンランドには正解を教わる前にそれがあるのです。教えられる前になぜなんだろうと考えることをずーとやってきた。生徒間で。
ファシリティーターとしての先生が生徒を引っ張ると生徒の発想は広がり、どんなところに出ても自分で考えるようになります。日本の教育はそこが弱かった。
追いつけ追い越せの時は良かったが、トップになったらどうしたら良いかわからなくなったんです。日本の欠陥、特に教育で弱い。
それをみてうちがいろんなことやってきた我が校では何とかしなくてはいけないと考えて色々やってきました。東大に何人とかを競うのではなく考えることに重点を置く教育に大きく舵を切ったんです。
徳光
中高一貫にされたころからですか?
古賀
いや、その前。30年以上も前から延延とやってきた。そして、実現するためには中高一貫にしなくてはいけなかった。そういう順番です。
昔は中学2クラスで高校から10クラスが入ってきました。それを中学からの入学者をだんだん増やすようにしたんです。これからは中1~高3まで8クラスになります。今は経過的で高校生は7クラスなんですが、3年後には全て8クラスになります。
今の中学生を見ると入学直後はバラバラで個人主義というかまとまりがありません。
海城ではPA(プロジェクトアドベンチャー)というカリキュラムで仲間意識を醸成させています。とかく、「今の子どもにはサンマがない」という言い方をすることがあります。
徳光
サンマ?
古賀
3つの間です★ひまがない★すき間がない★仲間がいない
これは日本の教育の特徴で都会でも地方でも見られます。これを変えていこうと思っています。たとえばPA(プロジェクロアドベンチャー)というプログラムは自分たちで考えて、仲間と動いて、仲間の痛みを知り人間関係の大切さを知ることを目的としています。
徳光
授業でやるんですか?
古賀
いえ、合宿でやります
たとえば、道具を使わずに壁乗り越えるという課題があります。
一人が下で押し上げることになるのですが、グループがしっかりしないとみんなを押し上げた下の子が残ってしまいます。それをどうするか考えるんです。
(続く)
リニューアル以前の記事は旧 広場で見られます。