業種別海原会ひろば
【医業】古賀洋一郎さん(平成21年卒)率いる研究チームが衛星設計コンテストで受賞
古賀洋一郎さん(平成21年卒)が率いる研究チームが衛星設計コンテストにて「日本機械学会宇宙工学部門スペースフロンティア」を受賞しました。
衛星設計コンテストは高校生から大学院生までの学生を対象にした、コンテスト形式の教育プログラムです。日本機械学会、日本航空宇宙学会、電子情報通信学会、地球電磁気・地球惑星圏学会、日本天文学会、宇宙航空研究開発機構、宇宙科学振興会、日本宇宙フォーラムという8学会・機関が共催で実施し、コンテストは今回で22回目となりました。この大会は日本国内の宇宙工学分野の登竜門の1つと言われ、過去には、コンテストに出品したアイディアを具体化した小型衛星が実際に打ち上げられたり、コンテスト参加者からJAXAや宇宙産業に就職する若者を多数輩出したりしています。
古賀さんは海城高校を卒業後、東京工業大学に入学。そのまま大学院に進学し現在は機械物理工学専攻修士2年です。今回は「月面の建材製造プラントと着陸港建設ローバ」のチームリーダーとしてコンテストに臨みました。
■ミッション概要■
本ミッションの最大の目的は、月面における建築資材(以下資材)の獲得です。月面基地や宇宙エレベータ(軌道エレベータ)などの宇宙大型構造物は19世紀末から様々な提案がなされ、その実現に向けて可能性の検討がなされてきました。しかし、これらの検討や提案は全て「宇宙空間で十分な建材を提供可能である」という前提のもとに成り立っています。であるにも関わらず、建材の提供可能性に関する検討はほとんどされてくることなく、全ての提案は夢物語のままです。設計図だけではモノを作ることはできません。そこで我々のチームは月面で利用可能な建材を採取、精製、加工を実証する月面の建材製造プラント及び運用ミッションを設計しました。
また、月面開発の障害となっている月面着陸のアシストする着陸管制装置を備えた月面着陸港を上記のプラントを利用して建造します。これにより1度のミッションで月面開発用の建材の供給源を手に入れるだけでなく、本ミッション以降に月面に着陸する着陸機をアシストします。これらは共に、以降の月面開発をより円滑化、高精度化します。
※古賀さんによる説明から
■感想■
コンテストへの参加は、将来月面開発を進めていく上で「現時点でどこまで実現可能であるか」をじっくり検討してみたかったことが、最大のモチベーションでした。実際、半年間をかけて月面の環境の調査から具体的な宇宙機の設計までを経験したことは、現時点で可能な部分と現時点で足りない部分を明確にしました。また、大会に参加する中で様々な先生方と出会い、新しいことを教えていただきました。このような経験も大会に参加するメリットだと、大会が終わってからは感じています。今回の検討をさらに発展させ、生きている間に月面基地を実現することが将来の目標です。
※古賀さんによる説明から
古賀さんは海原会の業種別団体「海原医業会」のメンバーです。
「一見畑違いなようですが、宇宙の研究と医学は切り離せないモノなんです。宇宙で暮らすとき人体はどうなるのか。それがわからなければ研究は進みません。医師の宇宙飛行士はけっこう多いんですよ」
昨年の医業会の忘年会で古賀さんは言いました。
今後は米国の大学やNASAの最新の研究に触れてみたいとのこと。世界どころか宇宙へ羽ばたくスケールの大きな話にどよめきの声が上がりました。
海原医業会には医師の他にも古賀さんのように医学に近い分野を研究する方も参加されています。
画像上中:大会で使用したイメージ
画像下:古賀さん