同期会・同窓会ひろば
【平成11年卒】『応仁の乱』の著者、新たな本を出版
私の友人の呉座勇一君(平成11年卒)が、今回新たな本を出版しました。タイトルは『戦国武将、虚像と実像』(角川新書、940円+税)です。
呉座君は2016年に『応仁の乱―戦国時代を生んだ大乱』(中公新書、900円+税)を世に送り出しましたが、同書は48万部を突破する大ベストセラーとなりました。また、2021年11月には、今年(2022年)のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に登場する源頼朝(演:大泉洋氏)及び北条義時(同:小栗旬氏)に焦点を当てた『頼朝と義時―武家政権の誕生』(講談社現代新書、1,000円+税)を出版するとともに、最近では、現代ビジネス(講談社)のサイト(下記リンク参照)において、同ドラマのレビューを掲載しております。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/94864
明智光秀は「常識人」、斎藤道三は「美濃のマムシ」、織田信長は「革命児」、豊臣秀吉は「人たらし」、石田三成は「君側の奸」、真田信繁は「名軍師」、徳川家康は「狸親父」……皆様の中には、小説やドラマ、映画などを通して、これらのイメージを抱いている方も多いと思います。しかしながら、これらの武将が一貫してそのようなイメージだったのかと言われれば必ずしもそんなことはなく、実はわずか数十年前に形成されたものもあります。また、戦前と戦後で、イメージが大きく異なっている武将もいます。
今回の呉座君の著書では、上記の7人の戦国武将に焦点を当て、その人物像の変遷について論じております。また、人物像の変遷を通して、時代ごとの価値観も浮き彫りになっております。
本書において印象に残ったのは、歴史を教訓にすることの危険性について述べた、「歴史小説から人生の指針を得ようという人は、そこに書かれていることが概ね事実であると思っているのだから、歴史小説家には一定の責任が求められる。事実に基づいているが、あくまでフィクションである、と公言するか、史実か否かを徹底的に検証するか、の二つに一つである。真偽が定かでない逸話を史実のように語り、そこから教訓や日本社会論を導き出す(中略)態度には、やはり問題がある」という部分です。私も長年大河ドラマを見ていますが、ドラマで描かれている話は概ね事実であると思ってしまうことが少なくありません。歴史小説家にとっては耳の痛い言葉でしょうが、小説の影響力は無視できないことから、やはり一定の責任はあるのかもしれません。
同窓生の皆様、本書に興味を持たれた方は、ぜひ書店に行かれて、本書をお買い上げいただきますと幸いです。
なお、下記サイトで試し読みもできます。
https://viewer-trial.bookwalker.jp/03/13/viewer.html?cid=f8892cbe-b32b-456d-8836-9815b17e6dac&cty=0&adpcnt=7qM_Nkp
また、呉座君は上述の著書以外にも、『日本中世への招待』(朝日新書、850円+税)、『陰謀の日本中世史』(角川新書、880円+税)、『戦争の日本中世史―「下剋上」は本当にあったのか―』(新潮選書、1,500円+税)、『一揆の原理』(ちくま学芸文庫、1,000円+税)など、多くの本を世に送り出しています。これらの本も、よろしくお願いいたします。
リニューアル以前の記事は旧 広場で見られます。